TP-Linkから新たな縦置きWi-Fiルーター「Archer AX73V」が発売されました。
本機は、従来機種「Archer AX73」の縦置きモデルで、スペック面は「Archer AX3000」と「Archer AX80」の中間。アンテナが排除されたことで「Archer AX73」と比べてスタイリッシュに仕上がっている点が特徴です。
今回は、TP-Link様からArcher AX73Vのサンプル機を提供いただいたので、性能や通信速度についてレビューしていきます。
Archer AX73Vの特徴と外観
Archer AX73Vは、縦置きに対応したAmazon限定モデルのWi-Fiルーターです。9月2日現在のAmazon参考価格は、12,489円となっていますが、特選タイムセールになると10,505円になっているのを確認しました。
スペックは、Wi-Fi6で4804 + 574Mbpsの通信速度、6ストリームでIPv6 IPoEに対応し、同社のArcherシリーズではハイスペックモデルに位置しています。
また、類似仕様でArcher AX5400というモデルが販売されていますが、その違いは「印字されているロゴ色」と「販路の違い」にあります。仕様はArcher AX73VとAX5400は共通のスペックとなっています。
引用:TP-Link
引用:TP-Link
本機は縦置きモデルということですが、付属のスタンドをArcher AX73Vの背面に取り付けることで、壁がけにも対応しています。壁がけ設置は、配線をスッキリさせたり、環境によっては電波状況を改善するメリットがあるため、意外と活躍する場面があると思います。
有線ポートは、ギガビットLANが4つ、ギガビットWANが1つ搭載されています。最近のWi-Fiルーターとしては、標準的な装備ですね。
スイッチ類は「LED/Wi-Fi・Reset・On/Off・WPS」が搭載されています。
中でも、電源のOn/Offボタンは、ネットの繋がりが不安定になった時に使えるので、あると地味に助かります。
Archer AX73V スペック概要
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6 | Wi-Fi速度 | 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:574Mbps |
周波数帯 | デュアルバンド | ストリーム数 | 6ストリーム |
有線ポート | ギガビットWANポート×1 ギガビットLANポート×4 | IPv6対応 | |
メッシュ対応 | EasyMesh互換 OneMesh対応 | 動作モード | ルーターモード ブリッジモード(アクセスポイントモード) |
Wi-Fi機能性 | OFDMA/エアタイムフェアネス/DFS/4×4 MU-MIMO |
Archer AX73Vの詳細レビュー
1ギガ光ユーザーにオススメしたい性能
Archer AX73Vは、1Gbpsに対応したWANポートを搭載しているため、1ギガ光と相性が良いWi-Fiルーターです。
最近では2.5Gbpsや10GbpsのWANに対応したWi-Fiルーターが普及しはじめていますが、1ギガ光を使っている人にとっては関係の薄い話。
1ギガ光ユーザー視点でコスパを考えれば、Archer AX73Vに搭載されている1Gbps WANで十分です。
WANと光回線の相性
- 1Gbps WAN
-
1ギガ光に最適
- 2.5Gbps WAN
-
2ギガ光に最適
- 10Gbps WAN
-
5ギガ光や10ギガ光に最適
また、Archer AX73VのWi-Fi通信速度は、5GHzが4804Mbps、2.4GHzが574Mbpsとなっています。
これは、最近のWi-Fi6ルーターの5GHzでは最高クラスの通信速度、一方で2.4GHzは用途を考えれば574Mbpsで必要十分の性能となっています。
ハイスペックモデルとは言え、5GHzと2.4GHzのバランスがとても良いので、価格も抑えられ、コスパに優れたモデルに仕上がっていますね。
5Ghzと2.4Ghzの主な用途
- 5Ghzの通信先
-
スマホやパソコンなどの高速通信が必要なデバイス
- 2.4Ghzの通信先
-
ロボット掃除機やスマートカメラなどの高速通信が必要ないデバイス
1ギガ光ユーザーの多くは、スマホやタブレットで動画視聴やweb検索をする人が多いのではないでしょうか?
これらの端末は、5GHzで通信することが多いため、Wi-Fiルーター購入時は5GHzの速度を重視すると動画視聴に強い環境を作ることが出来ます。
Archer AX73Vは、シリーズでも最高クラスの通信速度(5GHz)を備えているので、「1ギガ光ユーザー×Webコンテンツ利用者」にとって、予算を抑えつつ性能も妥協しない相性抜群のWi-Fiルーターと言えるでしょう。
IPv6 IPoEに対応し速度低下を軽減
Archer AX73Vは、IPv6 IPoEに対応しています。
※IPv6 IPoEとは
(主にNTT回線で)回線が混雑しやすい時間帯でもその影響が少なくなり、常に安定した通信速度を保てるようになる技術。
フレッツ光やNTT系列の光サービスにとって、IPv6 IPoEが使えるかどうかは非常に重要な要素です。Archer AX73V以外のWi-Fiルーターを買うにしても、ここは絶対に外せないポイントです。
Archer AX73VはIPv6 IPoEに対応しているため、ネットが混雑しやすい時間帯でも安定して通信速度を保てます。
尚、Archer AX73Vが対応するIPv6 IPoEサービスは「v6プラス/DS-Lite/MAP-E(OCN)」となっています。本機を購入前に、利用しているプロバイダがどのサービスを提供しているかを確認しましょう。(対応確認済みリスト)
注意ポイント!!
IPv6 IPoEと併用できない機能
- HomeShield機能
- VPN機能
Archer AX73Vでは、IPv6 IPoEと上記2つの機能を併用できません。それぞれ別サービスで代替できるので大きな問題にはなりませんが、事前にその対策は考えておきましょう。
メッシュWi-Fiも構築可能
Archer AX73Vは、EasyMesh※に互換性があるため、他社のEasyMesh対応機器と接続し、メッシュWi-Fi環境を構築できるのも大きな特徴となっています。
※EasyMeshとは
つなぐだけで親機と中継器同士が互いに通信しあい、網目状にネットワークを構築する仕組み。Wi-Fi Alliance®の標準規格のため、異なるメーカーの機器も接続できる。親機と中継器はEasyMeshに対応している必要がある。
別売りの中継器と組み合わせれば、後から電波が弱い場所を補完できるので、Archer AX73Vを設置した後の環境も強化することができます。
また、TP-Link独自メッシュ化技術「OneMesh」にも互換性があるため、同社のOneMesh対応中継器を使ってメッシュWi-Fi環境を作ることが出来ます。
Archer AX73Vと組み合わせるなら「RE705X」がおすすめ!
簡易NASを使いたい人は注意が必要
非常にバランスの良い通信性能を持ったArcher AX73Vですが弱点もあります。
それは、USBポートが搭載されていない点です。
USBポートがあれば、外付けHDDやUSBメモリを使って簡易NASを作ることができます。家族間で写真の共有やファイルの共有をしやすくなるので、ちょっとした時に便利ですが、Archer AX73Vでは利用できません。
簡易NASを使いたいなら、Wi-Fi性能が同等の「Archer AX73」をチェックしてみてください。
実際の通信速度を計測
では、Archer AX73Vの通信速度や電波強度を実際に検証してみたいと思います。
検証した環境は以下のとおりです。
- 光回線
-
eo光 10ギガ
- 計測した周波数帯
-
5GHz
- 計測に使用した端末
-
Galaxy S22
- 計測した場所
-
30坪 木造2階建て
家じゅうの通信速度を計測
計測した結果がこちら。
※クリックすると拡大
※( )内は3回計測値。赤字はその平均値。
(通信速度)1階を5GHzで計測
(通信速度)2階を5GHzで計測
2階の一部で速度が低下したものの、その他の部屋では家じゅう高速通信を確認できました。
速度が低下した部屋に関しても、100Mbps以上を常に維持していたので、ネットが途切れることは一切ありませんでした。
ちなみに、4K動画の視聴では20Mbps程度の通信速度が推奨されています。30坪の木造2階建ての我が家であれば、どの部屋もこの水準を余裕でクリアできました。
Wi-Fi電波強度を計測
次に、Wi-Fiの電波強度を調べてみました。
その結果がこちら。
※クリックすると拡大
(電波強度)1階を5GHzで計測
(電波強度)2階を5GHzで計測
計測は「Wi-Fiミレル」というAndroidアプリで行いました。数値の目安は、およそ「50」前後出ていれば必要十分、一方で「40」を下回ると少し不安定といったところです。緑〜黄色の色分けで電波強度を視覚的に表しています。
色分けを見れば一目瞭然ですが、1階も2階も全範囲「50」前後の数値が出ているため問題なし。
Archer AX73Vの仕様は3階建てまでいけるとのことなので、2階建ての我が家では余裕の電波強度を計測できました。
通信速度・電波強度のまとめ
通信速度・電波強度ともに、動画やウェブ検索、それどころかオンラインゲームも不自由なくできるほどの数値を計測できました。我が家と同じような住戸なら、不自由に感じることはまずないでしょう。
Wi-Fi速度と電波強度の検証結果
階 | 計測場所 | 通信速度 / 電波強度 |
---|---|---|
1階 | LDK | 823 Mbps / 57 |
和室 | 840 Mbps / 50 | |
風呂 | 797 Mbps / 60 | |
脱衣所 | 770 Mbps / 73 | |
トイレ | 730 Mbps / 63 | |
WIC | 910 Mbps / 90 | |
洗面所 | 820 Mbps / 64 | |
玄関 | 503 Mbps / 69 | |
平均 | 774 Mbps / 65 | |
2階 | 主寝室 | 497 Mbps / 66 |
収納 | 783 Mbps / 57 | |
子ども部屋 | 547 Mbps / 46 | |
作業部屋 | 133 Mbps / 69 | |
トイレ | 267 Mbps / 51 | |
平均 | 445 Mbps / 57 |
Archer AX73V|レビューまとめ
以上、TP-Linkから発売された「Archer AX73V」のレビューでした。
レビューのポイント
- 縦置きタイプで見た目も設置性も「良い」
- Wi-Fi速度のバランスが「良い」
- メッシュWi-Fiを使えるため電波拡張性が「良い」
- IPv6 IPoEに対応しているので時間帯による速度遅延が「少ない」
- 通信速度は家じゅう「爆速」
- 電波強度は木造2階建て程度なら「余裕」
- USB非搭載なので簡易NASは使えない
Wi-Fi速度が速い・見た目も良し・縦置きできて省スペース。それでいて、価格も安い。
簡易NASが使えない以外に弱点と言えるポイントが見当たらないので、かなりオススメの製品だと思います。
これまで、当ブログではArcher AX3000が「性能と価格のバランスがNo.1」と評してきましたが、その評価も変わりそうですね。
以上、参考になれば嬉しいです。