2020年にリリースされたWi-Fi6E。
各社様々なWi-Fi6E対応の製品を発表していますが、その中でも、至高と言える1台がTP-Linkから発売されました。
Wi-Fi6E/メッシュWi-Fi/トライバンド/16ストリーム/10GbEポート/IPv6 IPoEなど、ハイスペックなWi-Fiルーターに必要な機能を網羅した本機は、まさしく現時点で最強のWi-Fiルーターと言えるでしょう。
本記事では、そんなDeco XE200の特徴を詳しく紹介し、実際に計測した通信速度や電波強度も載せています。
購入前の参考にしてもらえると嬉しいです。
本記事は、メーカーより製品提供を受けて執筆しています。
Deco XE200の特徴
製品の特徴
- TP-Link Decoシリーズのハイエンドモデル
- 電波干渉の少ない6GHzが使えるWi-Fi6Eに対応
- AIメッシュで環境に合わせた最適なメッシュ環境をサポート
- 4804×4804×1148 Mbpsのトライバンドに対応
- 10Gbpsポートを搭載
- 16ストリームで多くのデバイスと同時通信が可能
- 2台で600㎡という超広範囲のWi-Fi通信エリアを形成
Deco XE200は、Wi-Fi6Eとトライバンド、有線10Gbpsに対応したTP-Link Decoシリーズの最上位に属するメッシュWi-Fiルーターです。
Wi-Fi性能は、6GHzと5GHzが4804Mbps、2.4GHzが1148Mbps。8×8 MU-MIMO、16ストリームに対応し、2台パックで構成すれば、最大600㎡ものWi-Fiエリアを構築できます。
有線性能は、10Gbps×1、1Gbps×2の合計3ポートを搭載しています。いずれも、WAN/LAN自動判別に対応しています。
また、IPv6プラスなど複数のIPv6 IPoE接続サービスにも対応しているため、NTTの光回線とも相性抜群です。
セキュリティ面では、無線LAN暗号化規格WPA3に対応している上に、同社独自のHomeShield Securityによって、サイトブロックや保護者による利用制限などの機能も設定可能。
各機能どれを見ても現時点で最高峰のスペックを誇っているので、今まで以上に快適な通信環境を実現できます。
Deco XE200の主な仕様
Wi-Fi規格 | Wi-Fi 6E | Wi-Fi速度 | 6GHz:4804Mbps 5GHz:4804Mbps 2.4GHz:1148Mbps |
周波数帯 | トライバンド | ストリーム数 | 合計16ストリーム |
LANポート | 10Gbpsポート×1 ギガビットポート×2 *WAN/LAN自動判別 | IPv6対応 | |
メッシュ対応 | セキュリティ規格 | WPA-Personal WPA2-Personal WPA3-Personal | |
セキュリティ機能 | SPIファイアウォール アクセスコントロール HomeShield Security | ゲストネットワーク | 6GHzゲストネットワーク×1 5GHzゲストネットワーク×1 2.4GHzゲストネットワーク×1 |
以下、Deco XE200の注目ポイントや通信速度をレビューしていきます。
Deco XE200のレビュー
項目 | ポイント |
---|---|
デザイン | 白を基調とした美しいデザイン 円柱形デザインのため設置面積が小さい 設置場所にはある程度の高さが必要 設置した印象は比較的大きめ |
性能 | Wi-Fi6E規格をサポート通信混雑を避けて高速通信 IPv6 IPoEに対応➡時間帯による速度減衰が少ない トライバンドに対応➡同時接続台数が多くても安心 合計16ストリームに対応➡同時通信できる台数が多い |
通信速度 | 実測1.1Gbpsの超高速Wi-Fi通信 35台の同時接続でも速度減衰は極小 スマホやPCのWi-Fi性能を最大限に発揮できる |
電波強度 | メッシュWi-Fiで家じゅう同じSSIDでOK 2台構成なら家じゅうどこでも電波MAX |
デザイン
Deco XE200の外観は、白を基調としたモダンなデザインが特徴的です。
Wi-Fiルーターと言われるまで、そうと分からない外観は、人目に付く場所でも躊躇なく設置できるメリットがあります。
サイズは「130×123.5×241mm」となっており、底面積の小さな円柱タイプです。
比較的高さがあるため、排熱の空間まで考慮すると高さ30cm以上は空間が欲しいかなという印象。
ちなみに我が家では、クローゼットの上部棚に設置しました。
底面積が小さいので高さをクリアすれば省スペースで設置可能です。
搭載しているポートは「10Gbps×1」と「1Gbps×2」の合計3ポート。全てWAN/LANの自動認識となっています。
スイッチ類はresetボタンのみ底面に配置され、電源やWPSボタンは非搭載です。WPSについては、スマホのDecoアプリから操作できるため機能としては利用可能です。
電源アダプターのサイズは、高性能なWi-Fiルーターの中では比較的小さめだと感じました。
ちなみに、付属しているLANケーブルは「Cat6」だったため、10Gbpsポートを最大限に活用するには「Cat6a」ケーブルを自前で調達する必要があります。
外観を見た感想は「比較的大きめなのは否めないけど、シンプルなデザインがそれを緩和している」ように感じました。
他社製のWi-Fiルーターと比べると部屋の景観に馴染みやすいため、デザインの良さは本機の大きな強みだと思います。
性能
Deco XE200の性能面で注目したいポイントは4つ。
- Wi-Fi6E規格をサポート通信混雑を避けて高速通信
- IPv6 IPoEに対応時間帯による速度減衰が少ない
- トライバンドに対応同時接続台数が多くても安心
- 16ストリームに対応同時通信できる台数が多い
Deco XE200は、どの性能も最高クラスのスペックを誇っています!
Wi-Fi6E規格をサポートし安定した通信が可能
Deco XE200は、電波干渉の少ない6GHzに対応したWi-Fiルーターです。また、6GHz・5GHz共に最大4804Mbpsの超高速Wi-Fiに対応しています。(2.4GHzは1148Mbps)
6GHzが使えるメリットは、電波干渉の可能性が低く、Wi-Fi電波をより安定的に飛ばせる点にあります。
メッシュWi-FiルーターであるDeco XE200にとってこの恩恵は絶大で、従来機よりも安定・高速・低遅延のWi-Fi通信を可能にしています。(詳しくは後ほど)
メッシュWi-Fiを構築するなら6GHzは是非とも使いたい機能ですね!
6GHzが使えるDeco XE200やDeco XE75は、導入コストが掛かりますがその価値は大いにあると思います。
IPv6 IPoEに対応
時間帯による速度減衰が少ない最新のWi-Fiルーターの多くが「IPv6 IPoE」に対応してきています。
IPv6とは
(主にNTT回線において)回線が混雑しやすい時間帯でも、その影響が少なくなり、常に安定した通信速度を保てるようになります。例えれば、高速道路の有人料金所レーン(IPv4)とETCレーン(IPv6 IPoE)のようなイメージです。
TP-LinkのDecoシリーズでは、Deco M5やDeco X50が対応モデルになりますが、その他のモデルでは現状では未対応のものがほとんどです。
Deco XE200は、さすが最高峰モデル。ばっちりIPv6 IPoEに対応しています。
フレッツ光やNTT系列の光サービスにとって、IPv6 IPoEが使えるかどうかは通信速度を保つための重要なポイント。Deco XE200以外のWi-Fiルーターを買うにしても、ここは絶対に外せない機能です。
Deco XE200が対応するIPv6 IPoEサービスは「v6プラス/DS-Lite/MAP-E(OCN)」となっています。本機を購入前に、利用しているプロバイダがどれにあたるかを確認しておきましょう。(対応確認済みリスト)
トライバンドに対応
同時接続台数が多くても安心一般的なWi-Fiルーターのほとんどが、デュアルバンドに対応したモデルです。
そんな中、Deco XE200はデュアルバンドよりも格上のトライバンドに対応しています。
デュアルバンド・トライバンドとは
デュアルバンドが、2つの周波数帯で無線通信をするのに対し、トライバンドは3つの周波数帯を使うことができます。周波数帯を「高速道路」と置き換えて考えればイメージしやすいです。
- デュアルバンド 2つの高速道路(周波数帯)を通れる(通信できる)
- トライバンド 3つの高速道路(周波数帯)を通れる(通信できる)
通信混雑の回避に対してトライバンドはかなり有効
Deco XE200は、親機と子機を使ってWi-Fi電波を拡張します。いわゆる、メッシュWi-Fiルーターです。
そのため、親機と子機の通信が他のデバイスから干渉をうけたり混雑すると、通信の品質が損なわれる可能性があります。
しかし、Deco XE200では電波干渉の少ない6GHzを親機と子機の通信に占有させることができるため、安定した通信品質を保つことができます。
メッシュWi-Fiと6GHzの組み合わせは抜群の相性ですね!
ちなみに、これらの設定は初期設定が終われば自動的に完了しているので、特別な操作が必要ありません。
設定は初期時点で「専用バックホール」になっていますが、6GHzを使えるデバイスを持っている場合は、Wi-Fiネットワークとして6GHzを開放することもできます。
専用バックホールの設定
Wi-Fiネットワーク&バックホールの設定
合計16ストリームに対応
同時通信できる台数が多いDeco XE200は、合計16ストリームで8×8 MU-MIMOに対応しています。
ストリームとMU-MIMOとは
ストリームはアンテナの数。MU-MIMOは複数の端末にデータを同時に送信できる通信方法です。これらの性能が高ければ、複数の端末と通信する際も通信速度が低下しにくいメリットがあります
Deco XE200の合計16ストリーム 8×8 MU-MIMOは、現行販売されているWi-Fi6Eルーターでは最高スペックを誇っています。
これにより、より多くのデバイスと同時通信が可能となり「動画を見ていてクルクル回って止まる」なんてことが激減します。
同時通信できるということは、データを受け取る順番待ちが少ないということです!
ちなみに、Deco XE200の合計16ストリームの内訳は以下のようになっています。
Deco XE200:ストリームの内訳
- 6GHz 4ストリーム
- 5GHz 8ストリーム
- 2.4GHz 4ストリーム
合計16ストリーム
6GHzは親機と子機の専用通信に使用し、5GHzはスマホやパソコンの最重要デバイスで使う。2.4GHzはプリンタやスマートカメラなどで活用。
そんな風に、それぞれの周波数帯で接続するデバイスが分担されストリーム数に応じた同時通信を行います。
3つの周波数帯でデバイスを分散し、さらに同時通信できるストリーム(アンテナ)を多く持っている。これがDeco XE200の「超」多台数接続を可能にしています。
この後、35台を同時接続した通信速度も紹介します!
通信速度
Deco XE200のWi-Fi最大通信速度は「4804×4804×1148 Mbps」です。さらに、WANで使える10Gbpsポートも搭載しているため、10ギガ光を使っている場合は、その恩恵を最大限に受けることができます。
以下、Deco XE200とデバイスの1台接続と多台数接続の2パターンで通信速度を計測しました。
計測した環境
- 木造2階建て(30坪)
- 光回線:eo光 10ギガコース
- 親機の設置:1階
- 子機の設置:2階
※通信速度は3回計測した値の平均です。
1台接続での通信速度(5GHz)を計測
計測結果
デバイス | 平均通信速度 |
---|---|
Galaxy S22 | 1010 Mbps |
iPhone 12 | 970 Mbps |
MacBook Air 2020(Intel) | 660 Mbps |
自作PC(AX210カード) | 1500 Mbps |
この結果は、Deco XE200と計測デバイスのみを接続した通信速度(5GHz)です。
Galaxy S22、iPhone 12、MacBook Air 2020に関しては、各デバイスの規格上の受信時最大通信速度に近い速度を計測できました。
※受信時最大通信速度:Galaxy S22とiPhoneは約1200Mbps、MacBook Air 2020は866Mbps、自作PC(AX210)は2402Mbpsが規格上の最大値
さすが、有線10Gbps+無線4804Mbpsの組み合わせ!
尚、自作PCに関しては、設置場所が2階のためDeco XE200の子機側に接続しています。
1階に親機・2階に子機という環境の子機接続でも1.5Gbps前後を安定して計測できたのは驚きです。
多台数接続での通信速度(5GHz)を計測
TP-Link Decoシリーズの強みの1つが最大接続台数の多さです。
Deco XE200は、シリーズ最大である200台の接続をサポートしています。
実際に200台もの機器を接続する人はほとんどいないと思いますが、最大値が多いほど余裕があるのは間違いありません。
検証で接続したデバイス一覧
合計35台
- Galaxy S22 1
- iPhone 12 1
- Xiaomi Redmi Note 10 Pro 1
- MacBook Air 2020 1
- 自作PC 1
- iPad Air 11 1
- Blackview Tab15 1
- Amazon Fire HD 7 10
- Amazon Fire HD 8 13
- Tapo C225 1
- Tapo C210 1
- TV Sony Bravia 1
- Nintendo Switch 1
- PS4 1
これらすべてのデバイスで、YoutubeやNETFLIXの視聴・ゲームプレイ・カメラの視聴などのインターネットを使用する操作をしながら通信速度を計測しました。
また、今回はデバイスの接続先を「親機に集中した場合」と「親機と子機に分散して接続した場合」の2パターンで計測してみました。
Deco XE200 1台にデバイスを集中
Deco XE200 2台にデバイスを分散
計測結果
デバイス | 平均通信速度 | |
---|---|---|
1台にデバイスを集中 | 2台にデバイスを分散 | |
Galaxy S22 | 896 Mbps | 916 Mbps |
iPhone 12 | 970 Mbps | 960 Mbps |
MacBook Air 2020 | 613 Mbps | 610 Mbps |
自作PC(AX210カード) | 980 Mbps | 1100 Mbps |
結果は、単独で接続した場合と、ほとんど変わらない通信速度を計測できました。
操作中の体感も多台数接続を一切感じさせないもので、動画が止まったり映像が乱れたりすることはありませんでした。
以上、導入前の参考にしてください。
電波強度
Deco XE200は、Wi-Fi電波を効率よく拡大できるメッシュWi-Fiルーターです。
メッシュWi-Fiとは
網目(メッシュ)のようにネットワーク機器がつながりあうWi-Fiのこと。広いエリアのWi-Fi環境作るのに最適です。SSID(Wi-Fiの名前)が単一になり、家の中を移動しても接続先を切り替えなくてよくなるのは大変便利です。
電波が弱いと悩んでいる人にとって、メッシュWi-Fiが使えるDeco XE200は最強の味方になること間違いありません。
今回は、建坪30坪の我が家でWi-Fi電波の強度を計測したので紹介します。
計測は「Wi-Fiミレル」というAndroidアプリで行いました。
数値の目安は、およそ「50」前後出ていれば必要十分、一方で「40」を下回ると少し不安定といったところです。
計測結果
1階で計測
2階で計測
結果は、家じゅうどこでもWi-Fi電波MAXの完璧な状態となりました。
Deco XE200は、2台パックを使えば最大600㎡までWi-Fiエリアを形成できます。検証した我が家はおよそ110㎡。余裕なのは当たり前ですね。
皆さんの自宅での設置場所や台数の参考にしてください。
Deco XE200|レビューまとめ
以上、TP-LinkのメッシュWi-Fiルーター「Deco XE200」のレビューでした。
ポイントをまとめます。
- Deco XE200は、どの性能を見ても最高クラスを誇るWi-Fiルーター
- 速度計測ではスマホやパソコンのWi-Fi性能を最大限に引き出すことができた
- 35台の多台数接続でもWi-Fi速度が低下することがほとんどなかった
- 2台使えば30坪戸建ては余裕で網羅できる電波強度だった
Deco XE200は、決して安価とは言えない価格帯ですが、その性能は間違いなく本物です。
特に多台数接続時にその本領が発揮されるので、10ギガの光回線+デバイスの多台数接続を想定している人は、導入してみてはどうでしょうか。
以上、参考になればうれしいです。